仕事辞めないと障がい児は学童に通えない?! 障がい児をかかえる世帯の現実

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仕事辞めないと障がい児は学童に通えない?! 障がい児をかかえる世帯の現実

2024/08/30

孤立

活動レポート

「仕事辞めないと障がい児は学童に通えない?!障がい児をかかえる世帯の現実」

ボランティアセンターに竹内さん(仮名)から電話相談があったのは2月。
「学校や行政、有償サービスにも相談したがどこもダメだった。途方に暮れている…。」切羽詰まった声で絞り出してくださった言葉でした。

嬉しいはずの息子の小学校入学。しかし、学童利用に高いハードルが…

竹内さんは夫と6歳の息子と3人で暮らしています。障がいのある息子は4月から小学校に入学する予定です。
両親が共稼ぎのため、学童クラブの障がい児枠を利用することになりました。
しかしながら、学童クラブから伝えられたのは、本人が 慣れるまで必ず送迎をすることという条件。
小学校から学童クラブまでは徒歩でたった数分の距離。
でも、過去に何度も交通事故が起こっている、自動車の往来が激しい道路を横断しなければなりません。

ここで竹内さんの前に大きな問題が立ちはだかります。
夫の勤め先は通勤時間が長く、夜勤もある不規則なシフト。竹内さんご自身も生活を支えるため仕事に復帰したばかりで、市外にある勤務先へはそれなりの通勤時間がかかります。夫婦それぞれの実家は飛行機と電車を乗り継ぐような遠方で、転居して間もないため、近所で頼れる人や友人もいません。
4月まであと2ヶ月しかなく、入学が迫っているなか、学校や行政、そして、意を決して有償サービスにも相談をしましたが、なかなか良い手立ては見つからず、どんどん時間だけが過ぎていきました。

「生活を支えていくために働かなければいけない。送迎の時間だけとは言え、毎日のように昼間の時間、仕事に穴を あけてしまったらクビになってしまうかもしれない…。」、「息子が学童に慣れるまでというのは数週間?1カ月?それとも、それ以上??夫婦で乗り切れるのだろうか。」と、当時の竹内さんの胸中には不安な思いが渦巻いていました。

竹内さんの心を救ったひと言

竹内さんは、藁をも掴む気持ちでボランティアセンターに相談。「少し時間がかかるかもしれないが、協力してくださる方がいないか個別に探してみましょう。」ということになりました。すると、3月に入ってすぐにボランティアセンターのコーディネーターから、竹内さんのもとに「ボランティアをしてくださる方々が見つかった」と嬉しい連絡があり、その後、ボランティアの福祉協力員9名と顔合わせをすることになりました。

顔合わせ当日、緊張の面持ちの竹内さんと、座ることなく、ピタッとお母さんの背中に張り付いて下を向き、モジモジしている息子。
そんな二人の緊張をほぐしたのは、福祉協力員のお一人の「お母さん、今までご苦労もあったでしょう。大変だったね。私たちに任せてね。」という一言でした。
その瞬間、竹内さんの緊張が緩み、今にも泣き出してしまいそうな安堵の表情に変わりました。

その後の話し合いの中で、

    • 〇不安にならないよう、目印としてお迎え時は福祉協力員会の名前の入ったお揃いのエプロンを着ていくこと
    • 〇万が一に備えて福祉協力員が2人体制で活動すること
    • 〇学童クラブまでは手をつないでいくこと
    • 〇小学校や学童クラブに福祉協力員の活動予定表を事前にお渡しすること 等

といった共通のルールを決め、ボランティアセンターのコーディネートのもと、小学校や学童クラブとの具体的なやりとりを確認して活動することになりました。

活動初日、お二人の福祉協力員のほか、福祉協力員のリーダー(地区長)とボランティアセンターのコーディネーターも同行して初回の活動を見守りましたが、心配をよそに、竹内さんの息子はエプロンを見てすぐに駆け寄ってきて、手をつなぎ、お二人の協力員さんと歩き出しました。
自動車の往来が激しい道路では、福祉協力員が息子と目線を合わせ、交通ルールを分かりやすく伝え、しっかり安全確認して横断。
横断歩道を無事渡り終えると、福祉協力員さんがたくさん褒めてくれ、嬉しそうな息子の笑顔が印象的でした。

その後、15名もの福祉協力員が協力したこの活動は、結果として1カ月弱で終了し、現在、竹内さんの息子は学童クラブに元気に通っています。
活動最終日には、お父さんもお迎えに加わって福祉協力員の方々に直接感謝を伝え、そして竹内さんからは後日、下記のような手紙が届きました。

竹内さんからの手紙

この度は沢山の方々に御尽力頂き、誠にありがとうございました。
お陰様で交通ルールを守り、自分の力で学校から学童まで行けるようになりました。
新生活が始まり、息子は不安な気持ちでいっぱいでしたが、ボランティアさんと学童まで行く日は朝からとても楽しみにしており、お話しした内容などを嬉しそうに話してくれました。
地区長やボランティアさんのお陰で息子の心も和やかになれました。
皆様お忙しい中本当にありがとうございました。

今回の件を経て、私自身も地域の皆様との繋がりなど改めて考えさせられました。
今までは近隣の方とお話ししたりする機会が少なかったのですが、これからは地域の輪を広めていけたらなと思います。
また、これから何か少しずつでも御恩返しが出来たらと思いますので、何かお手伝いが出来ることがあればお声掛けして頂けると嬉しいです。

今回のケースのように、地域には既存の制度・サービスでは解決できない様々な社会問題があります。たとえ、今は支援の 方法がない社会問題であっても、必要な支援活動を創って解決に取り組んで行ければと思います。

―個人情報保護のために、一部情報を加工しています―

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