▲権利擁護係 山田 志乃
生活する上で、身近に相談できる人がいることはご本人にとっての安心にも繋がります。
特に金銭管理の支援ができる人は限られているため、専門員として、金銭管理も含め、 家族以外の”信頼できる人”として、ご本人が抱える不安を少しでも軽減できるような支援を心がけています。
Aさんは軽度の知的障害があり、一軒家で一人暮らしをしています。
母子家庭で一人っ子だったこともあり、子どもの頃からお母さんからはとても大切に育てられました。性格は真面目だったこともあり、一般の小学校に通っていたのですが、勉強についていけなかったことをとても気にされていたそうです。
現在は多くの障がい者が働く福祉施設に休むこともなく通っており、部品の組み立て等の仕事を周りの人が関心するほど真面目にされています。
Aさんはお母さんが残してくれた子どもの頃からずっと暮らしてきた自宅をとても大事に思っているのですが、ある時から、屋根の修理の業者からの電話がかかってくるようになりました。説明を聞いていると、「屋根が傷んでいるから修理した方がいい」ということです。怪しさは感じていたものの、お母さんとの思い出のある家を大切にしたいという思いがあり、また頼まれたら断れない優しい性格のAさんは「修理をお願いします」と言い契約をしてしまいました。
たった1日で修理が終わり、屋根が綺麗になったと思っていた数日後、別の複数の業者が何度も家に来て「修理の仕方が悪いので、再度、修理した方がいい」と言われるようになりましたが、その度にまた何度も契約をしてしまいました。そのため、貯めていたお金の多くがなくなってしまいました。
このような状況から、Aさんは本会スタッフにご相談いただき、消費生活センターや弁護士に相談の上、クーリングオフの手続きをしたことで、一部の支払いを未然に防ぐことができ、被害を最小限に抑えることができました。しかし、また新たに業者が来て屋根の修理の必要性を訴えられると、家を大切にしたい思いと優しい性格から、また契約をしてしまい、それをクーリングオフするということを繰り返しています。
成年後見制度を利用すれば、ご本人がしてしまった契約も後見人等が取り消しでき、財産等も守れるということから利用を勧めていますが、支援を受けることへの報酬がかかるということから、Aさんは利用をしたくはないと言っています。 そのため、悪質業者との戦いは現在でも続いており、ご本人の選択を尊重し、不利益を被らない方法でお手伝いできることは何か…と日々悩みながらサポートを続けさせていただいています。
この活動に参加する
042-394-6333
受付時間 平日 9:00〜17:00